「年賀状じまい」という言葉を聞いたことがありますか?
シニア世代では、終活の一つとして「年賀状じまい」を行う人が増えてきました。
「年賀状じまい」を行う理由はさまざまですが、メリット・デメリットをしっかりと理解しておかないと、これまで築き上げてきた人間関係を損なってしまうことになります。
この記事を読んで、トラブルを起こさずに、終活で「年賀状じまい」を行う参考にしてください。
年賀状じまい(終活年賀状)とは ?
「年賀状じまい(終活年賀状)」とは、毎年行っている年賀状でのやり取りを辞退する旨を連絡することです。
これまで毎年、年賀状を送っていた人に、「来年からは年賀状でのやり取りを控えさせていただきます」ということを、年賀状または寒中見舞いなどで連絡するのです。
ではなぜ「年賀状じまい(終活年賀状)」をするのでしょうか?
もともとは高齢者が執筆力の衰えを感じたことにより、自分から年賀状を書くことを卒業したいことを伝えるために送るものとされてきました。
「年賀状のやりとり」は、シニア世代にとって「これまでの人生で積み上げてきた人とのつながり」を意味します。
最近では、「年賀状じまい(終活年賀状)」として、断捨離のひとつとして考えられています。
「筆を取るのが困難になった」という理由の他には、「人間関係を整理したい」ということもあるようです。
誰でも「年賀状だけの交流を続けている人」がいます。
終活を開始するシニア世代の中には、「これからの人とのお付き合いは気楽にしたい」という人間関係のスマート化を考えている人もいるからなのでしょう。
しかし、「年賀状じまい(終活年賀状)」はシニア世代に限らず、何歳で行っても問題はありません。
「年賀状作成作業が面倒だから」、「メールやFacebook、LINEなどのSNSを使えば手軽に連絡できるから」ということも「年賀状じまい(終活年賀状)」をする理由として考えられます。
年賀状じまい(終活年賀状)のタイミング
では、「年賀状じまい(終活年賀状)」を行う時期は、いつが多いのでしょうか?
やはり「筆を取るのが困難になった」との理由を中心に60~80代が多く、定年退職や還暦、古希、米寿などの祝い年をきっかけとすることも多いです。
また、インターネットやSNSの普及により、シニア世代に限らず40~50代、さらには20~30代でも「年賀状じまい(終活年賀状)」を行う人が増えているようです。
いずれにしても、突然「年賀状じまい(終活年賀状)」の連絡が来て、受け取った相手が絶縁状だと勘違いしてしまうリスクが高いことには注意が必要です。
自分の状況だけでなく、相手のことも考慮することが重要です。
「年賀状じまい(終活年賀状)」を行う時期としては、誰にでも納得してもらいやすい人生の節目が無難と考えられます。
年賀状じまい(終活年賀状)のメリット
「年賀状じまい(終活年賀状)」を行うことのメリット・デメリットについてご説明します。
まず、メリットについてですが、3つのことが考えられます。
人間関係を見直すことができる
「年賀状じまい(終活年賀状)」を行うことにより、今後のお付き合いをどのようにしていきたいのかを、自分から伝えることができます。
そして今日までの膨大な人間関係リストを整理していくことができるのです。
「年賀状のやりとり」という義理でつながっていた人や普段は連絡をとらない人との関係をリセットでき、人間関係のスマート化を図ることができます。
本当に交流を続けたい人を明確にすることができるのです。
年賀状を作る手間と費用が省ける
年賀状を作成するための手間や年賀はがき購入、印刷代などのコストを削減することができます。
毎年の恒例として作成しなければならない年賀状の枚数が相当数になる人も多く、年賀はがき購入や印刷にかかる費用は結構な負担になります。
また、年賀状に記載する一言コメントに何を書けばよいのか迷うことも大きな負担です。
「年賀状じまい(終活年賀状)」を行うことにより、今後は年賀状を作る手間と費用の負担を抑えることができます。
交友関係がよりスムーズになる
インターネットやSNSの普及により、メールやFacebook、LINEなどのSNSを使えば、年賀状を作ることよりも手軽に連絡することができます。
年賀状では、送付した相手との1対1のつながりです。
しかし、メールやSNSによる連絡であれば、例えばその相手がつながっていた昔の友人ともつながることができ、年賀状ではできなかった交流を期待することができます。
さらに、メールやSNSによる連絡であれば、誰かしらとつながりが持てるので、連絡先が途絶えにくいということも考えられます。
年賀状じまい(終活年賀状)のデメリット
では次にデメリットについてですが、3つのことが考えられます。
絶縁状だと勘違いされる恐れがある
突然の申し出に絶縁状だと勘違いされることがあるかもしれません。
「年賀状じまい(終活年賀状)」を行う人は増えていますが、まだ一般的とは言えません。
絶縁状ではなく、あくまでも年賀状でのやりとりを辞退することのお知らせですので、今後も交流を続けたい人には、ていねいにその旨を伝える必要があります。
自分の状況だけでなく、受け取る側の気持ちを考えたうえで出すという配慮が重要です。
年賀状を再度送りにくくなる
「年賀状じまい(終活年賀状)」を行ってしまうと、その後再開したいと思っても、年賀状を再度送りにくくなるため、十分に検討する必要があります。
「年賀状を作成するのが面倒だからやめてしまおう」という安易な気持ちで「年賀状じまい(終活年賀状)」を行うことはやめましょう。
友人や知人の訃報を知ることができない
「年賀状じまい(終活年賀状)」を行い、新年の挨拶をメールやSNSのみでのやりとりにすると、喪中はがきを受け取ることができなくなる可能性が高くなります。
遺族は、喪中はがきを故人の年賀状をもとに作成することが多いからです。
「年賀状じまい(終活年賀状)」を行う場合には、さまざまな影響先まで考えなければなりません。
年賀状じまい(終活年賀状)の気を付けるべきポイント
「年賀状じまい(終活年賀状)」を行うことのメリット・デメリットを理解していただきましたので、実際に行う場合の気を付けるべきポイントについて見ていきましょう。
「年賀状じまい(終活年賀状)」の書き方は、基本的には通常の年賀状と同じで年賀はがきを使用しますが、異なるのは文面の構成です。
通常の年賀状にある新年の挨拶や近況報告に加えて、必ず「今後は年賀状を辞退する理由」と「今後の連絡手段の代案」を書きます。
年賀状の文末に小さく書き添える程度でよいでしょう。
シンプルな内容でもよいのですが、言葉足らずになってしまい、相手に誤解を与えないように十分に注意する必要があります。
具体的には次のようなことが気を付けるべきポイントになると考えられます。
年賀状辞退の理由を明確かつていねいに説明する
年賀状でのやりとりを辞める理由や経緯を具体的に記載しましょう。
「年賀状じまい(終活年賀状)」は、「年賀状でやりとりをしている全員に出していること」、「今後も交流は続けたいこと」を明記します。
なお、「年賀状じまい(終活年賀状)」は、必ずしも年賀状である必要はなく、定年退職などの挨拶状でも可能です。
いずれにしても、相手に誤解を与えないように、明確かつていねいに説明することが大切です。
今後の連絡手段の代案は相手に合わせて提示する
今後もお付き合いを続けたい人には、どのようにして連絡を取り合いたいのかを明示します。
代案としては基本的にはメールかSNSになると思いますが、相手が連絡しやすい手段を提示することが大切です。
例えば、60代以上と20~30代では相手の受け取り方も異なるので、年代に合わせた対応が必要です。
「年賀状じまい(終活年賀状)」を行う人が60代以上であれば、年賀状でのやりとりを辞退することを理解してもらいやすいでしょう。
「年賀状じまい(終活年賀状)」を行う人が40~50代であれば、伝え方には注意が必要となります。
「年賀状じまい(終活年賀状)」を行う人が20~30代であれば、年賀状よりメールやSNSが主流なので納得してもらいやすいでしょう。
年賀状じまい(終活年賀状)のまとめ
以上、「年賀状じまい(終活年賀状)」とは? 出すタイミングと書き方のポイントについてご説明しました。
終活のひとつとして「年賀状じまい(終活年賀状)」を行う人が増えています。
理由はさまざまですが、絶縁状ではなく、あくまでも「年賀状でのやりとりを辞退することのお知らせ」です。
相手に誤解を与えないように、明確かつていねいに説明することが大切です。
「年賀状じまい(終活年賀状)」は、メリット・デメリットをしっかりと理解してから行うようにしましょう。