自然と一体化できるということから、「自分の遺骨は海や山に散骨して欲しい!」というような散骨を望む人が増えてきています。
散骨は新しいスタイルの埋葬法や供養の形として注目されています。
散骨にはいろいろな種類があります。
散骨する際の注意点は? 費用はどのくらいかかるの?
この記事を読んで、散骨を考えるための参考にしてください。
散骨とは?
散骨とは、火葬後の遺骨を粉状にして、海や山などに撒く埋葬方法です。
これまでは、お墓を建てて供養するのが一般的でした。
新しくお墓を建てると200~300万円ほどかかると言われています。
散骨の場合には、お墓を建てるほど金銭的な負担がかからず、跡継ぎのことを考えなくてもよいため、新しいスタイルの埋葬法や供養の形として注目されています。
散骨を行う際の4つの注意点
散骨を行う際の注意点について見てみましょう。
注意点① 遺骨を粉状化する必要があります
散骨を行うには、必ず遺骨を粉状にしなければなりません。
粉状にする器具があれば個人でも対応できますが、相当の技術が必要になるので、通常は業者に委託します。
注意点② 散骨を禁止・規制している自治体があります
国有地、自治体の所有地、個人の私有地など誰かが所有している土地では散骨することはできません。
散骨は山よりも海の方が行いやすいのですが、散骨を禁止したり、規制している自治体がありますので、トラブルにならないよう確認が必要です。
注意点③ 手元に遺骨が残りません
一度散骨をしてしまうと遺骨を手元に取り戻すことができません。
遺骨を手元に残しておきたいのであれば、遺骨の全てを散骨せずに、一部を分骨して残すことを考える必要があります。
注意点④ お墓参りや法事を行うことが難しくなります
散骨ではお墓を建てませんので、一般的なお墓参りや法事を行うことが難しくなります。
お墓参りや法事が行えないと、散骨について親族から理解を得るのが大変になることが考えられます。
散骨の費用
散骨にかかる費用はどうなっているのでしょうか?
散骨の費用は「散骨の方法」と「散骨を委託する業者」によって大きく変わると言われています。
〇散骨の方法
散骨には、遺族が遺骨を撒くほかに、散骨業者が遺族に代わって遺骨を撒く方法があります。
遺族が遺骨を撒く場合には、遺族が乗り込むクルーザーや飛行機をチャーターする費用がかかります。
散骨業者が遺族に代わって遺骨を撒く場合には、散骨業者に委託するため、クルーザーや飛行機をチャーターする必要はありません。
また、散骨業者が任意のタイミングで散骨を行えるため、遺族が遺骨を巻くよりも安価な費用で対応することができます。
〇散骨を委託する業者
散骨を行うためには、事前に遺体を細かく砕く粉骨が必要です。
粉骨を自分で行うと費用を抑えることができますが、経験のない人が専用の器具なしで行うことは困難なため、通常は業者へ委託します。
業者に委託する場合の相場(粉骨自体に必要な費用)は2~3万円ほどです。
その他、骨壺の大きさによって粉骨に必要な遺骨の量が変わるために費用が変わります。
遺骨が濡れていたり湿っていると乾燥料金がかかってきます。
また、粉骨した後に遺骨を封入するものによって費用が変わってきます。
散骨業者の知識や経験によって費用が変わってきますので、複数の業者から見積もりをとって比較検討することが大切です。
散骨の種類
散骨には、海洋散骨、山林散骨、宇宙散骨、空中散骨、月面散骨、手元供養、納骨堂があります。
それぞれの特徴と費用について見てみましょう。
〇海洋散骨
粉骨した遺骨を海へ撒くという供養です。
生前に海が好きだった人、海に思い入れのある人などが選択しています。
遺族が直接、海で遺骨を撒く場合
クルーザーのチャーター費用がかかりますので、一般的な相場としては50万円ほどと高額です。
散骨時に僧侶を呼ぶこともできますので、その場合には別途お布施がかかります。
散骨業者が遺族に代わって遺骨を撒く場合
クルーザーをチャーターする必要がなく、散骨業者が任意のタイミングで散骨を行えるため、一般的な相場としては5万円ほどとなります。
〇山林散骨
粉骨した遺骨を山や森に撒くという供養です。
お寺が所有する山林や散骨専用の敷地内に撒かれます。
一般的な相場としては、5~10万円ほどです。
私有地や許可を受けていない場所で行うとトラブルになりますので注意が必要です。
〇宇宙散骨
粉骨した遺骨をロケットに乗せて、宇宙空間や他の惑星へ飛ばすという供養です。
遺骨をカプセルに入れてロケットに搭載して打ち上げます。
衛星になるもの、月や火星に散骨するというものもあります。
ロケットを使用した散骨になりますので、一般的な費用相場としては100万円以上と高額です。
〇空中散骨
粉骨した遺骨を主に飛行機を使用して空から撒くという供養です。
パイロットやキャビンアテンダントなど空に思い入れのある人や、故人が好きだった街並みを見ながら供養したいと考える人などが選択しています。
小型の飛行機やヘリコプターをチャーターする必要がありますので、一般的な相場としては
30~60万円ほどかかります。
海洋散骨のように遺族が大人数で行うことが難しいことや天候に影響されやすいという難点があります。
〇月面散骨
粉骨した遺骨をカプセルに入れて、ロケットで月まで運び、月に散骨したり、カプセルを放置したり、ロケットごと月に落下させるという供養です。
ロケットを使用しますので、一般的な相場としては120万円ほどからということになります。
〇手元供養
粉骨した遺骨を手元に置いて供養します。
遺骨はいつまで家に置いておいても法律上の問題はありません。
手元供養の品には、多くの種類があります。
・骨壺を入れるスペースのある仏壇(一般的な相場は3~5万円ほど)
・粉骨した遺骨を入れるオブジェやアクセサリー(一般的な相場は1~5万円ほど)
・お地蔵さま(一般的な相場は3万円ほど)
・写真立て(一般的な相場は1~3万円ほど)
・ミニ骨壺(一般的な相場は2万円など)
〇納骨堂
粉骨した遺骨を安置するための施設です。
納骨堂は昔から遺骨を一時的に預かる施設としてありましたが、今では永代的に遺骨を預かることで、実質的にお墓と同じ役割を果たしています。
お墓と同じように承継者が必要で、毎年の管理料(1~2万円ほど)を支払うタイプと承継者も管理料も不要なタイプがあります。
遺骨の保管方法としては、ロッカー式、棚式、仏壇式、自動搬送式などがあります。
種類や供養の方法、規模などにより費用はさまざまですが、一般的な相場としては20~150万円ほどです。
この費用には、永代供養料、永代使用料、開眼法要料、納骨費用などが含まれています。
まとめ
以上、散骨の種類、注意点、費用についてご説明しました。
散骨には、海洋散骨、山林散骨、宇宙散骨、空中散骨、月面散骨、手元供養、納骨堂があります。
お墓を建てるほど金銭的な負担がかからず、跡継ぎのことを考えなくてもよいため、新しいスタイルの埋葬法や供養の形として注目されています。
宇宙散骨や月面散骨など、今はあまり知られていないものも、今後は現実的なものになっていくでしょう。
散骨は、「自然と一体化したい」という望みを実現できるので、ますます希望する人が増えていくことが考えられます。
ただし、散骨ができる場所が制限されていたり、お墓参りや法事がやりにくくなるなど、注意しなければならないこともあります。
もしも散骨を望むのであれば、まずは親族の了解を取り付けることから始めることが大切です。